
2025年7月の参議院選挙で自民・公明の与党が歴史的大敗を喫したことにより、石破茂首相への退陣圧力が急速に強まりました。
今回の選挙では、与党が掲げた物価対策や給付金支給策に対して、国民が「NO」を突きつけた格好となり、民意がその政策への否認を明確に示した形です。
それにもかかわらず、参院選後の自民党は引き続き党内政局に終始し、民意を受け止めて政策修正を図る気配がほとんど見られません。
この姿勢に対しては、

「もはや責任政党としての機能を果たしていないのではないか」
との批判が急増しており、国民との乖離は深まる一方です。
自民党内ではすでに次期総裁候補の名前が取り沙汰されるなど、政権移行に向けた動きが加速しており、各派閥の水面下での駆け引きも活発化しています。
ところが、その中で国民が真に求める新たな物価対策や生活支援を掲げるリーダーが現れていないことも問題視されています。
経済苦に直面する国民の声を反映し得る人材が見当たらず、政治家の人材不足と構想力の欠如が、政党全体の機能不全を象徴していると言わざるを得ません。
石破首相の求心力は徐々に低下しつつあり、政権運営にも影を落としている現状は、その延長線上にあると言えるでしょう。
一方で石破首相ご本人は辞任を強く固辞し、



「国家的課題に対して責任を果たす」
として続投に強い意欲を見せています。
日米関係や経済再生といった喫緊の課題に取り組む姿勢を強調し、政権の継続こそが日本の安定につながると主張しています。
このような対立構造の中、政権の命運を左右する重要局面に突入しており、今後の日本政治はこれまで以上に注視される展開となりそうです。
党内の退陣圧力と続投支持のせめぎ合い


7月28日に開催された自民党の両院議員懇談会では、236人中64人が発言し、その多くが石破首相の責任を問う内容でした。
特に比例代表で落選した議員を中心に、



「潔く辞めるべき」



「責任を取らなければ党の再生は難しい」
といった厳しい意見が飛び交い、党内の士気低下や混乱を指摘する声が相次ぎました。
これにより、石破政権が党内からの信頼を失いつつある現状が浮き彫りとなり、事実上の「求心力喪失」の様相を呈しています。
また、旧安倍派や麻生派の議員らも独自に退陣を求める署名活動を展開しており、派閥間の対立が新たな火種となっています。
とくに麻生派では「一刻も早い新体制の確立が必要」として、8月中の政治決着を強く促す動きが強まっています。
一部報道によれば、既に複数の中堅・若手議員が水面下で総裁選に向けた根回しを進めているとされ、政局は日に日に緊張感を増しています。
一方で、少数ながら石破首相を支持する声も存在しています。
特に外交・安全保障分野での手腕や、日米関税交渉の最終局面にある現状を重視する意見が見られ、



「今辞めることは国家的損失」



「このタイミングでの交代は国際的信頼を損なう」
との意見も根強くあります。
石破首相の冷静な判断力と実務能力を評価する声も一部にはあり、党内外に一定の支持基盤を残しているのも事実です。
ただし、支持派は党内では依然として少数派であり、両院議員総会での不信任決議や総裁選挙の実施も現実味を帯びてきました。
支持派が今後どこまで巻き返せるかが、政局の行方を大きく左右することになるでしょう。
石破首相の固辞姿勢と政治責任


石破茂首相ご本人は、



「今は国民の暮らしと日本の安全保障を守るために、責任から逃げるわけにはいかない」
と明言しており、退陣論を明確に否定しています。
また、マスコミ各社が報じた退陣の意向についても、



「そのような発言をした事実は一度もない」
と強調し、続投への姿勢を一貫して貫いています。
政権の座にとどまりながら、外交・経済政策の遂行を優先させたい考えですが、そうした主張が必ずしも世論に響いていないのが現状です。
とくに今回の参院選で与党が惨敗した背景には、裏金問題などの政治不信だけでなく、石破首相自身のリーダーシップの欠如が大きな要因として挙げられます。
例えば、物価高騰への対応では、政府の給付金方針が場当たり的で、抜本的な構造改革や市場への信頼回復につながる具体策を打ち出せなかった点が批判されています。
さらに、首相会見での曖昧な言い回しや、答弁の回避姿勢が「責任を取らない政治家」とのイメージを強めたとも指摘されており、リーダーとしての明確なビジョンと発信力の欠如が、有権者の不信感を招きました。
また、石破首相は



「このタイミングでのリーダー交代は、内外の政策の遅延を招くだけでなく、日本の国際的信用にも影響を与える」
として、続投の必要性を訴えていますが、その説得力は低下しています。
とくに日米関係の再構築や多国間貿易秩序の安定化といった中長期的課題への取り組みも、実効性に乏しいとの見方が広がっており、「実績よりも姿勢だけが前面に出ている」との冷ややかな評価も党内外に存在しています。
国内では経済再建やエネルギー安全保障などにも言及し、



「任期を全うして初めて責任を果たしたと言える」
との持論を展開していますが、現実にはその「任期中の成果」が見えにくいという厳しい評価も根強くあります。
こうした中で、石破首相の固辞姿勢は逆に政局の混乱を長引かせており、



「首相のこだわりが党内の分裂を深刻化させている」
との声も政権内から出ています。
リーダーシップのあり方に対する再考を求める動きが加速しており、8月15日の終戦記念日を前に、石破首相には政治家としての決断が強く求められる局面に立たされています。
世論とメディアの見方


世論調査の結果も、石破首相の進退に影響を与える要因となっています。
FNNが7月26〜27日に実施した全国調査では、「石破首相は退陣すべき」が47.7%、「辞任する必要はない」が44.2%と、意見はほぼ二分しています。
この数字は、有権者の間でも評価が割れており、政治的立場や居住地域によっても支持傾向に違いが見られることを示唆しています。
一方、医療関係者を対象にした専門調査では、6割以上が「退陣すべき」と回答しており、職種や立場により支持率に差があることも明らかになっています。
特に医療や福祉、教育といった公共サービス分野に携わる層では、「安定した政策執行が不可欠」として早期の指導者交代を望む声が目立っています。
大手紙の社説では、石破首相に早期退陣を促す論調が目立ちます。
「選挙結果を重く受け止め、政権の刷新を図るべき」といった論調が続いており、政治空白の回避よりも、新たなリーダーによる立て直しの必要性を訴える主張が優勢です。
こうした社説は単なる意見表明にとどまらず、世論の形成に影響を与える力を持っており、特に中間層の意識変化に強く作用しています。
報道各社の編集方針や特集記事も、今後の展開に大きな影響を与えることは避けられません。
今後のシナリオと政局の行方


石破首相の進退をめぐる今後のシナリオとしては、以下の3つが現実的に想定されます。
- 退陣表明:8月15日までに石破首相が退陣を表明し、次期総裁選が実施される。
この場合、党内の混乱は一定程度で抑えられる見込みです。
派閥間の主導権争いも一時的に落ち着く可能性があり、国民の政治不信の緩和にもつながるとみられています。
迅速な後継体制の構築が焦点となり、政権の信頼回復を図る第一歩となるでしょう。 - 続投強行:首相が続投を決断した場合、党内の分裂や政権基盤のさらなる弱体化につながる恐れがあり、秋以降の臨時国会でも与党内の足並みが乱れる可能性があります。
特に、野党からの攻勢が強まる中で、予算案や重要法案の審議にも支障が出るおそれがあり、政権の実効性が問われることになります。
さらに、続投への反発が地方組織にも波及すれば、自民党の地方基盤の崩壊を招く懸念もあります。 - 両院議員総会での不信任決議:党内手続きを通じて、強制的に退陣に追い込まれるケース。
こちらは党内対立を決定的にする恐れもあり、自民党の求心力そのものを揺るがす可能性があります。
不信任が可決されれば、総裁選を前倒しせざるを得なくなり、準備不足のまま権力闘争が表面化することで、党の一体感が著しく損なわれるリスクもあります。
党の将来像や政策ビジョンを巡る根本的な議論が求められる局面とも言えるでしょう。
いずれの展開にせよ、石破首相の決断は日本の政治における大きな転換点となることは間違いありません。
すでに党内では、小泉進次郎議員、高市早苗議員、岸田文雄元首相といった次期総裁候補の名前が取り沙汰されており、「ポスト石破」を巡る権力闘争の火蓋も切られようとしています。
各候補の政策ビジョンや支持母体の動向も含め、次期リーダー像に国民の視線が集まりつつあります。
まとめ
石破茂首相をめぐる退陣論と本人の固辞姿勢は、自民党内における深刻な分裂と政権運営の行方を映し出す象徴的な問題となっています。
参議院選挙での敗北という現実を受け、党内外では責任論が巻き起こっていますが、それに終始する姿勢が国民との乖離を一層深めています。
今、自民党に本当に求められているのは、単なる首相の交代劇ではなく、物価高や生活不安に対して抜本的な解決策を提示できる新たなリーダーの出現です。
しかしながら、現在の自民党内には、そうした明確なビジョンと実行力を持った人物が見当たらないという現実があります。
政局の駆け引きや派閥の思惑ばかりが先行し、国民の生活実感に根ざした政策議論が置き去りにされている状況は深刻です。
このままでは、自民党は政権与党としての信頼をさらに失うだけでなく、今後の選挙でも国民から厳しい審判を受けることは避けられないでしょう。
今後は8月15日前後を一つの政治的区切りとして、両院議員総会や党手続きによって進退が決まる可能性が高まっています。
その判断次第では、自民党内での力学が一変し、新たな政権の誕生へとつながる道も見えてきます。
とりわけ、次期総裁候補たちの動向や各派閥の戦略が、政局の行方に大きな影響を及ぼすことが予想され、ポスト石破体制への備えが一層重要性を帯びてきています。
石破首相の去就は、今後の日本政治における重大な分岐点であり、国民の関心も高まり続けています。
経済、外交、安全保障といった多岐にわたる課題が山積する中、次なるリーダーに求められるのは、既存の延長線ではなく、時代の変化を見据えた抜本的な改革と国民に寄り添う具体的なビジョンです。
真のリーダーが現れなければ、自民党の政権運営はますます先細りしていく危機に直面しています。










